手続きは「誰が、いつまでに、何をするか」で確認します
「家を解体するとき、どんな届出が必要なのだろう」
「業者に任せてよい手続きと、施主側で確認する手続きの違いがわからない」
解体工事では、建設リサイクル法の届出、アスベストの事前調査、道路使用や道路占用、電気・ガス・水道などのライフライン、解体後の建物滅失登記など、いくつかの確認があります。
全部を施主が一人で処理する必要はありません。大切なのは、見積もりや契約前に「どの手続きが必要で、誰が担当し、費用に含まれるか」を確認することです。
解体前後に確認したい手続き一覧
まずは、関係しやすい手続きを一覧で見ておきます。
| 手続き | 主な確認内容 | タイミング |
|---|---|---|
| 建設リサイクル法の届出 | 対象規模、提出先、工事着手前の期限 | 着工前 |
| アスベスト事前調査 | 調査者、調査費、分析・除去の扱い | 見積もり前後 |
| 道路使用許可 | 道路上で作業・車両待機があるか | 着工前 |
| 道路占用許可 | 足場、仮囲いなどを道路に置くか | 着工前 |
| ライフライン停止 | 電気、ガス、水道、通信など | 着工前 |
| 近隣挨拶 | 工期、作業時間、連絡窓口 | 着工前 |
| 建物滅失登記 | 登記された建物を取り壊した後の登記 | 解体後 |
地域や現場条件によって必要な手続きは変わります。見積書を受け取ったら、費用項目だけでなく「届出・申請・調査」がどこまで含まれているかも見ます。
建設リサイクル法の届出
環境省の建設リサイクル法の概要では、建築物の解体工事について、床面積80平方メートル以上など一定規模以上の工事が分別解体等・再資源化等の対象とされています。
施主側では、次の点を確認します。
- 対象工事に当たるか
- 届出の提出先はどこか
- 届出書類の作成・提出を誰が行うか
- 届出に関わる費用が見積もりに含まれるか
- 着工日から逆算して間に合うか
実務上は解体業者が書類作成を支援することがあります。ただし、発注者として「必要な届出があるか」は契約前に聞いておきましょう。
アスベスト事前調査
厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトでは、建築物等の解体・改修工事を行う場合、石綿含有の有無の事前調査などが必要と案内されています。
築年数の古い家では、屋根材、外壁材、軒天、内装材などにアスベスト含有建材が使われていた可能性があります。
見積もり時には、次の項目を聞いておくと安心です。
| 確認項目 | 見る理由 |
|---|---|
| 事前調査の有無 | 解体前に必要な確認のため |
| 調査者 | 資格者による調査が必要な場合があるため |
| 分析費 | 含有が疑われる建材で追加になることがあるため |
| 除去・処分費 | 見つかった場合に費用と工期が変わるため |
| 届出や近隣説明 | 工事内容によって対応が変わるため |
道路使用許可と道路占用許可
道路に工事車両を停める、道路上で作業する、足場や仮囲いを道路に設置する場合は、道路使用許可や道路占用許可が関係することがあります。
国土交通省は、道路に一定の工作物や施設を設けて道路空間を継続的に使用することを道路占用とし、道路管理者の許可が必要と案内しています。道路使用許可は、道路で工事や作業を行う場合に警察署長等の許可が関係する手続きです。
施主側では、専門用語を覚えるよりも、次の質問をしておきます。
- 道路に車両を停める必要がありますか
- 足場や仮囲いが道路にはみ出しますか
- 道路使用・占用の申請は必要ですか
- 申請費用や警備・誘導員の費用は含まれていますか
- 近隣の通行や駐車に影響がありますか
道路が狭い家、商店街、通学路に近い家では、工事車両の動きも見積もり条件に入れて確認します。
ライフライン停止で確認すること
解体前には、電気、ガス、水道、通信回線などの扱いも確認します。
| 項目 | 確認したいこと |
|---|---|
| 電気 | 停止日、引込線の撤去、仮設電気の要否 |
| ガス | 閉栓、メーター撤去、配管処理 |
| 水道 | 工事中の散水に使うか、メーターを残すか |
| 電話・ネット | 引込線や機器の撤去 |
| 浄化槽 | 撤去・埋め戻し・使用廃止届の扱い |
水道は散水や清掃に使うことがあるため、止めるタイミングを業者に確認します。浄化槽がある場合は、環境省の案内でも使用廃止時の届出が示されているため、自治体や業者に確認しておきましょう。
解体後の建物滅失登記
登記されている建物を取り壊した後は、建物滅失登記が必要になります。
法務局は、所有者が建物滅失の登記をオンライン申請できる手順を案内しています。書面申請や土地家屋調査士への依頼を選ぶ場合もあります。
施主側では、次の書類や確認事項を見ておきます。
- 登記されている建物か
- 所有者や住所が登記と一致しているか
- 解体業者から建物滅失証明書を受け取れるか
- 申請を自分でするか、土地家屋調査士に依頼するか
- 売却予定がある場合、不動産会社と段取りを共有するか
解体工事そのものが終わっても、登記や売却準備が残ることがあります。更地にした後の予定まで見ておくと安心です。
見積書で確認したい項目
手続きまわりは、見積書の中で「諸経費」「申請費」「調査費」などにまとめて入ることがあります。
次の項目は、口頭だけでなく見積書やメールで確認しておきましょう。
- 建設リサイクル法の届出対応
- アスベスト事前調査費
- アスベスト分析・除去が必要な場合の扱い
- 道路使用・道路占用の要否
- 警備員・誘導員の費用
- ライフライン停止の役割分担
- 建物滅失証明書の発行
- 解体後の整地状態
よくある質問
建設リサイクル法の届出は施主が出すのですか?
発注者が関係する届出ですが、実務上は業者が書類作成などを支援することがあります。誰が何を行うか、費用に含まれるかを契約前に確認してください。
アスベスト調査は小さな家でも必要ですか?
建築物の解体・改修工事では、石綿含有の有無の事前調査が関係します。報告や届出の要否は条件で変わるため、業者に調査方法と費用を確認します。
建物滅失登記は業者がやってくれますか?
解体業者は建物滅失証明書を発行することがありますが、登記申請そのものは所有者が行うか、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。契約前に証明書の発行を確認しておきましょう。
参考情報
まとめ:届出・手続きは見積もり比較の段階で聞いておく
解体前後の届出・手続きは、建設リサイクル法、アスベスト事前調査、道路使用・占用、ライフライン、建物滅失登記などに分けて確認します。
施主がすべてを自分で進める必要はありません。ただし、業者ごとに対応範囲が違うことがあるため、見積もり比較の段階で「必要な手続き」「担当者」「費用」を聞いておくと安心です。
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執筆者
執筆:中原 実咲
住宅解体・空き家整理領域 編集ライター
住宅リフォーム会社の相談窓口、地域工務店の施工事例編集、住まい系比較メディアの編集を経て、解体費用・見積書・空き家管理に関する記事制作を担当。費用の幅、追加費用の条件、契約前の確認点を整理する記事づくりを得意としています。
公開日: 2026.06.01